移動ド唱法についての記事を連投している中、
わたしは大切な論点を忘却していたことに気がつきました。
それは、世の中にある曲が、ドレミファソラシド、
すなわちメジャースケールで書かれたものばかりではない、ということです。
(なお、移動ドなので、ドレミファソラシドはCメジャースケールを意味するのではなく、12調すべてのメジャースケールを意味しています)
今日の記事では、その辺の補足的なところを考えてみたいと思います。
「マイナースケール問題」についての見解
まずはこれです。
メジャースケールの曲だけではなく、
「ドナドナ」のようなマイナースケールの曲も存在します。
マイナースケールとは
「ド レ ミb ファ ソ ラb シb ド」のように、
3番目、6番目、7番目の音が
「ふつうのドレミファソラシド」より半音下がっています。
「ドナドナ」は、次のような歌詞のもの悲しい曲です。
ある晴れた昼下がり 市場へ続く道
荷馬車がコトコト 子牛を載せてゆくよ
かわいい子牛 売られてゆくよ
さびしそうな瞳で見ているよ
ドナドナドナドナ 子牛を載せて
ドナドナドナドナ 荷馬車は揺れる
あーあれね、と思ったのではないでしょうか?
知ってる人が多いでしょう。
子牛が売られてゆく、おそらくは食肉にされるのだろうと、
感じさせる歌で、マイナースケールで歌うのにふさわしいと言えますね。
下手な失恋の歌よりしみじみとした悲しみがあります。
話がそれましたが、マイナースケールの歌い方には
わたしがネットで調べたところ、大きく2つの方法があるようです。
一つ目。
マイナースケール
「ド レ ミb ファ ソ ラb シb ド」
3番目、6番目、7番目の音が半音下がっているので、一例として
「ミb」を「メ」、「ラb」を「リ」「シb」を「テ」のように
下がってる音を読みかえて歌うという方法です。
読みかえ方は好きにすればいいと思います。
ドナドナの「かわいい子牛~売られてゆくよ~」の部分は、
「テーテーテーリーソーファーメーファファファファテーリーソー」
みたいに歌うというわけです。
二つ目。
マイナースケールを「ラシドレミファソラ」と並行短調で歌う方法。
「かわいい子牛~売られてゆくよ~」の部分を
「ソーソーソーファーミーレードーレレレレソーファーミー」
と歌います。
並行短調とはざっくり言うと、ドレミファソラシドの出発点をラに変えて
ラシドレミファソラ、と歌ったスケールのこと。
普通の感覚をしている人だと、もの悲しい調べだな、と感じるはずです。
【結論】
わたしの見解ですが
「ラシドレミファソラ」で歌えばOKである、と考えます。
メジャーとマイナーはあいまいで、
曲の終わりが明るく終わってればメジャー、暗く終わってればマイナー、
くらいの違いしか感じられない曲が多いです。
Fly Me To The Moonとか
マイナースケールと思われがちですけど、けっこう明るく聞こえませんか?
メジャースケールだマイナースケールだと分別する意図がイマイチわかりません。
いちいちフラットした音を無理やり読みかえて歌うより、
「ラシドレミファソラ」で歌った方がわかりやすいです。
余計なことに脳のリソースを使わないことが大切と考えます。
「ブルーススケールについての見解」
ブルーノートスケール(ブルースペンタトニックスケールとも言うようです)
「ド ミb ファ ソb ソ シb ド」
実際の曲では、他の音も使われますが、おおよそ上の音階を中心にした、
チョイ悪な印象の曲があります。青い字が「ブルーノート」と言われる特徴音です。
そうですね。代表曲はこれかな、というのがあります。
「ゲゲゲの鬼太郎OP」
これで決まりじゃないでしょうか?
ゲ ゲ ゲゲゲのゲ 朝は寝床でグーグーグー
楽しいな 楽しいな オバケは学校も 試験もなんにもない
ドレミで歌うと、
ド、ミb、ドレミbファソb ソソソレレファファ ミbドレ
ドレミbレド ファソラbソファ ソラbソソbソラbソ ドドシシシbシbシシド
となると思います。違ってるかもしれません。
赤字が半音下がりの音。
こういうのはどう歌えばいいでしょうか?
【結論】
bを無視してドレミと歌っちゃってOK。
「ゲ ゲ ゲゲゲのゲー」を
「ド、ミ、ドレミファソー」と歌っちゃってます。
ピアノで本当に上の音を弾くと、完全に原曲破壊ですね(笑)
オバケは明るい太陽の光に照らされて逃げて行ってしまいます。
でも、上のように歌っても、ブルーススケールだぞ、と意識しておけば、
かってにミはミb、シはシb、と歌えるでしょう。
また、「ゲゲゲの鬼太郎」の場合は、マイナースケールの曲と解釈して
「ラシドレミファソラ」で歌って
「ラ ド ラシドレbミ ミミミシシレレドーラーシー
ラシドシラ レミファミレ ミファミミbミファミー ララソ#ソ#ソソソ#ソ#ラ」
と歌うのも一つの方法ですね。
この方が変化音が少ないというのがメリットでしょうか。
ただ、わたしは最初の歌い方がシックリきます。
ブルーススケールは「ちょい悪」なイメージ、
マイナースケールは「悲しい」イメージ。
というカラーがありますね?
カラーって言い方。
絵に例えるといいのかな?
メジャースケールは「明るい色の絵の具」です。
マイナースケールは「悲しい色の絵の具」です。
ブルーススケールは「ちょいわる色の絵の具」です。
わたしは「ゲゲゲの鬼太郎」は「ちょい悪」なイメージに聞こえるので、
この曲はブルース曲だ、と感じているのです。
そして、そういう「感じ方」がいわゆる「音感」の正体なのかな、とも思えます。
以上、「移動ド唱法」の「マイナースケール」「ブルーススケール」の歌い方の
自己流の考察を書かせていただきました。
今後の音感研究、新しい地平。
なお、この記事には現時点でのわたしの自己流のやり方を書いたわけですが、
実はちょっと気になるメソッドがあります。
大人のための音感トレーニング本 音楽理論で「才能」の壁を越える! (CD付き)
友寄 隆哉 (著)
がそれです。
Amazonでやたらコメントが多くついていたので、良書なのだろうな、と思い、レビューを読んでみました。
その中で、下のようなレビューを書かれている方がいらっしゃいました。
本を読んだことがないのでわかりませんが、絶対音程感、というのを養うメソッドのようです。
読んだことがないのに勝手に想像で批判する、と捉えられると申し訳ないのですが、
わたしは「音程」をマスターしようと思って、自己流でトレーニングしたことがあります。
適当な鍵盤を押して、4度上を歌えるように、6度上を歌えるように、などとやってみました。
しかし、結論としては失敗しました。
人間の耳は、音楽を聴くのに、音程、で聞いているのではないように感じます。
ドレミで多くのメロディを歌うと、ああ、あの音の並びだ、とあの感じだ、という「感覚」が生じる。その感覚が「音感」の正体であって、この音の3度上はこの高さ、4度上はこの高さ、みたいに単独の音があって、そこから次の音への距離、というような聞き方を人間の耳はしていないんじゃないかな、、、
しかし、友寄氏のメソッドは、どうやら音程に着目し、ドレミ、、、という言葉を使用しない方法らしいぞ、と、
大げさに言うと「知の興奮」を覚えたのです。
特に音感を専門に研究したいのではないので、急にはやらないと思いますが、
いずれは購入し、研究する書籍なので、紹介させていただきました。
最後まで長文、お付き合いいただきましてありがとうございます。