Nashville Number Systemという音楽の記譜方法について、
所感を述べたいと思います。
当記事では、ナッシュビルナンバーシステム(Nashville Number System)の頭文字を取り、NNSと呼ぶことにしましょう。
NNSは1950年代後半にNeal Matthewsなる人物が開発した、とされています。
NNSは、主にコード、リズムを記載できるシステムなのですが、ここではコードに限って話を進めていきます。
NNSによるコードの記載方法
NNSを使うためには、スケール上に出てくるコードが瞬時にわかる必要があります。
たとえば、
KeyがGである、とします。
Gメジャースケールに出て来るコードは、
G Am Bm C D7 Em F#dim
の7つ。これらが瞬時に頭に浮かんでくる必要があります。
これらを、NNSでは、順番に1,2,3,4,5,6,7と数字(ナンバー)で表すのです。
G =1
Am=2
Bm=3
C=4
D7=5
Em=6
F#dim=7
といった具合ですね。
具体例。
NNSで
l 1 4 l 2 5l
と書いてある時、KeyがGのときは、
lGClAm D7l
というコード進行だよ、ということになります。
これが基本です。ちなみにリズムの表記としては
下線「_」を使う方法もあるようです。下線は2拍を表します。
1 4 2 5 1 1
_ _ _ _
だったら、4小節のコード進行を表し
lGClAm D7lGlGlという感じ。
1の下に下線がありませんので、1小節分の長さがある、ということ。
英語が達者な人はこの動画を見ると、下線の意味がよくわかりますよ。
コード進行の中にノンダイアトニックコードが入った時は?
lClClDlDlDmlG7lC AlDm G7l(Key in C)
というコード進行をNNSで書くと?
(ちなみにTake the A trainというジャズの曲です)
l1l1l2Ml2Ml2l5l1 6M 2 5l
となります。
Mという文字(メジャーを表す)が出てきましたね?
なぜか?
Cメジャースケールに出て来るコードは、
C Dm Em F G7 Am Bdimの7つです。
つまり、D(NNSでは2)とかA(NNSでは6)は通常マイナーコードなのです。
しかし、メジャーコードで出て来るのはイレギュラーなので、2M、6Mと大文字のMをくっつけるのですね!
これ、上に書いたようなスケール上のコードについての知識や事情が「当然のこと」として理解できて初めて、演奏という「実用」に耐えられると思います。
わたしなどは、よく演奏するKeyならNNSを何とか使えますけど、BとかGbみたいなあまり使わないKeyでは出来そうにないです。
何でわざわざこんなめんどくさいことをするの?
わかりません。Nashbilleというところはカントリー音楽の聖地で、その必要から生まれたのだと想像しますが、、、
ジャムセッションですぐにKeyを変えられるように、とかかな?
すげー、、、。ヒャッハーな世界観ですね!
以下はわたしの所感ですけど。
コードというものは機能、もっと言うと機能に付随したイメージを持っている。
chord nameをそのまま書いても、Keyによって機能が違うので、機能を正確に表記するためにNNSを使うのである。
ということかな?と思います。
つまり、Fというコードは、KeyがFの曲で出て来たときは「1」、KeyがCの曲で出て来たときは「4」KeyがBbの曲で出て来たときは「5」ですよね?
同じF(ファラド)でも、受けるイメージが違うのですね!つまり、NNSのナンバーは、各コードの機能、イメージを表していると考えます。
私の個人的なコードのイメージは、こんな感じ。
Bbで書きます。
1 Bb 落ち着く。明るい。保守的。主役。
2 Cm マイナーなのに明るく前進するイメージ。F7に進みたい。
3 Dm 落ち着く。けっこう暗い。隙間的な使われ方。
4 Eb とにかく華やか。曲が展開する。明るい。
5 F7 不安定だけど、次にBbが来て落ち着く。
6 Gm 感傷的。暗い。恋の切なさ。東洋風。
7 Adim 何者?不安定で不気味。上手に使うとかっこいい。
こんな感じかな?
この7つのキャラたちのイメージをあぶり出す、みたいなのがNNSかな?と個人的には思います。これに、さっき出てきた2Mとか6Mのような、イレギュラーなコードにも、それぞれイメージがあると思うのです。
NNSを使ってみた感想。
NNSでコードを記譜した曲は、機能で覚えているので、音をイメージしやすく、すぐに覚えられる感じなのです。
私は、ピアノは耳コピーがメインなのですけど、
コードをNNSで記載して、メロディは移動ドのカタカナ書きで採譜しています。
せっかくなので、お見せするとこんな感じ。
マイナーコードには6mのように、小文字のm、セブンスコードには7を小さく書いてわかりやすくしています。
私は、採譜したメロディを口ずさむときに移動ド唱で歌って身体で覚えています。
コードはNNSにより、機能で覚えられるので、イメージしやすく、曲の流れがすぐにイメージできます。普通のオタマジャクシの楽譜よりもいい感じなのです。
しばらく、耳コピ記譜システムはこれでやってみようと思いました。
やはり、紙とペンは最高のツールですよね。
なお、Nashville Number Systemに関する書籍は探したんですけど、どうやら英語のしかないですね。
NNSに興味をおぼえられた方は、がんばって英語で下のような本をお読みいただいて、内容についてコメントいただけるとすごく嬉しいです。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
次回の更新は6月7日(土)になります。