タイに来て、結婚できたし、少しは生活にゆとりができたし、
全体的には人生が好転したので、
(まあよかったよね)
そう思うのですが、
日本にいて、同じ言葉を話す人たちとたくさん知り合って、
深く話が出来たら幸せだっただろうなーと
思うこともありますね。
こういうことは、外国生活が長い人しか感じない感情かもしれませんが。
20代の頃は、とある公営ギャンブルに関係した施設で働いていたのですが、
そこで酒場でピアノを弾く仕事をしているおじさんと知り合いました。
そのおじさんは、軽ーい感じの人で、外見は、そう、、、
ガネーシャみたいな体型の人でした。
ガネーシャさんに、
「トルコ行進曲練習してるんですよ~」と言うと、
「あー、それ、最近はソープランド行進曲っていうねー」
「ぷははっ(笑) そのギャグ、初めて聞きましたわ~」
みたいに気が合うのですが、ピアノが下手くそで駆け出しの私に、
ピアノの話をしてもわからないだろう、みたいな感じで、
あまり真面目に音楽の話はしてもらえませんでしたが。
でも、好きなピアニストは?っていう話になったときに
「カーメンキャバレロっていう人知ってる?」
とこの名前を出してきたのです。
聞いてみてぶっ飛んだ
ガネーシャさんから聞いて、わたしはカーメンキャバレロのCDを中古で買ったかレンタルしたかして(そういう時代だったのです)
しばらくはカーステレオ(そういう時代でした)で首都高を走りながら聞いていました。
すごいピアノ演奏のテクニックと、それでいて耳なじみのいい音使いに衝撃を受けました。
なんか、聞いてるうちに自分の練習している「トルコ(ソープランド)行進曲」などが実にショボく感じてしまい、
(落ち込むだけだから今は聞くのをやめよう)
そう思わせたほどでした。
しかし、、、あらためてYOUTUBEを見ると、見事に聴きごたえのある音源をつなげてくれた人がいたんですなあ。感謝感激です。
さっき、渋滞のバンコクを、このYOUTUBEのカーメンキャバレロを堪能しながら帰ってきました。
そして、あらたに衝撃を受けました。
彼の音楽は
- ジャズスタンダード、ショパンなどのクラシック、童謡など、誰もが知ってる曲をジャズ風にアレンジして弾くスタイル。
- 即興演奏はあまりないので、「ガチのジャズ」勢からは軽んじられるが、メロディの行間を美しい真珠のような音で埋めつくし、重音、オクターブ、アルペジオなどのたしかなテクニックで重厚かつ繊細に聞かせる。
まあ、言葉にするとそんなところでしょうけど、聞いてみるとホントにすごい。
しかも、曲はよく知ってる「Fly me to the Moon」とか「The Days of Wine and Roses」だったりするので、
「うわー、あの曲がこんなにゴージャスになってるっ!スゲー!」
となるという仕組みです。
特に、いわゆる「ウィンドウ」(メロディの合間の空間)を埋める飾りの音がすごいなあ、と思います。
ガネーシャさんはヤマハのQY70というシーケンサーを持ってまして、それで作曲した作品を聞かせてくれるんですが、、、彼の作風は、独特の飾りの音が入ってまして、それは今思えば、カーメンキャバレロの音楽スタイルを彷彿させるものなのです。
ガネーシャさんには
「パソコンなんか使わなくていいから、QYだけ買って、これをイヤホンジャックが故障しないように大切に扱いながら、使い込むんだ。そうすれば音楽がメチャクチャ上手くなる」
というありがたいご神託のような言葉をいただいたのですが、
わたしは「QY100」を買ってみたものの、プリセットパターンを並べてJポップのカラオケ作成をするのみにとどまりました。そのQY100も後年、ヤフオクで売却してしまいました。(買う人がいたところを見ると、ガネーシャさんの言うように、名機だったのかもしれません)
ちなみに、わたしはPCのソフトはそれなりに使いこなせているので、QY100はアイティースキルが低いオッサンに向いているのかもしれませんね!ガネーシャさんはパソコンなど触ったこともないようでしたし!
パフュームの有名プロデューサーもQYで作曲を始めたそうなので、QYの悪口はやめようか
しかし、、、
あらためてカーメンキャバレロを聞いて、やはり私の目指すピアノスタイルはこの方向性だな、と思いましたね。
カーメンキャバレロの楽譜ってあるんだろか?
1950年代の音楽ですからね。
アマゾンキンドルにはあるんですけど、、、
あまり買われている様子がなく(当たり前である)
しかも、寂しげに一つだけ低評価がついていました。
一応、投げてみますかね、、、。
あと、@ELISEさんというサイトで、プロのアレンジャーの先生がアレンジしているらしい楽譜が売られていました。こちらはおそらくは品質はバッチリですね。
今夜はセンチメンタルな気分です。
20代の頃は、日本にいました。
歌手になりたいという子(そいつは男で、しかも元パチプロでした)の練習のお供をしてピアノを弾いたり、
クラシックギターアンサンブルのサークルになぜか入会して、その中でいろんな人の恋模様を見たり、
音楽と、夢と、恋と、そんなものが身近に転がっていました。酒といっしょに。
ポップスなどがそうでしょうけど、若いころした「恋愛」の中で揺らいだ、ジグソーパズルのような心の破片を、わざわざ拾い集めては歌にして、という作業をしているかに思えます。
僕にとって、カーメンキャバレロは、そんな感傷。心の繊細な部分を撫でてくるピアノの音なんです。
今日のブログは以上。
ああ、来週はもっとピアノブログっぽく行きたいぜ。
次回の更新は8月15日(土)になります。