ゆう@天音理心流©です。
クラシックピアノの曲集を紹介しています。
「リトルピシュナ」は基礎練習の本です。
従来は「ハノン」という本がもっともポピュラーでしたが、「リトルピシュナ」は最近、評価が上がってきているそうです。
基礎練習の本ですが、【いい点】と【不可解な点】(けっこう辛口です(笑))をあげていき、【総評】でわたくしの見解を述べます。
【いい点】
- 1-4がメジャー、5-9がマイナー、10ー14がドミナント7thの和音の上にフレーズが組まれている。つまり、同じようなものが一か所にまとまっている構成になっている。バラバラに出てこないところがよいです。
- 調号がつかない調から始まって、半音ずつ上昇してゆく。12調を階段のように上がっていって元に戻って終わるというパターン。これなら、ハ長調ばかり練習させられてほかの調だと弾けません、という事態を避けられそうです。
- 右手と左手のパートを逆に弾く課題もあるので、左手の運動能力強化にも向いていると思われます。
【不可解な点】
- 指使いを、同一指使いで弾きとおさせようという意図のようです。しかし、それだと黒鍵盤に短い親指が当たってしまうところがあって弾きにくい…しかし、そこをどう解決するかの「指番号」の指示があまりないです。
- 解説がわけわかりません。わけわからないというか、日本語としてどうかというレベル。たとえば10ページ下から3行目に「第1組の課題の開始音を逆にして5指からにしたもので」と書いてありますが、、、第1組1番の最初のフレーズは「ドレミファソファミレ」なのですがこれをどう逆にすると、第5組13番の「ファミレドシドレミ」になるのでしょうか?
- 理論的な説明が不足しているからでしょう。前例の第1番のドはCメジャーコードの「主音」ですが、13番のファはG7(ドミナント7thコード)の第7音(b7)です。音の機能が違うのですが、そういう肝心な部分は何も書いていないのです。
【総評】
- 練習曲は文句のつけようがないくらいよいです。しかし、理論的な解説や指使いの表記不足に難あり。しかし、理論的な解説には深い洞察や知識が必要だと思われ、それを専門的にガンガン書くとページ数が足りないし、読者を選ぶからなあ、という大人の事情なのかもしれません。
- そこで、ジャズ、ポピュラー系の音楽をやりたい人は、バークリーメソッド的な現代的な音楽理論で分析をし、課題の意味を「わかった」上で弾く方がよいでしょう。
- この手の指練習本でもっとも有名な「ハノン」と比べてどちらがやる価値あるか?という話になると、「リトルピシュナ」の方に軍配が上がる気がします。
「ジャズハノン~ジャズピアノの基礎知識とその練習」
「指の基礎練習」と「ジャズ理論」を結びつけていっしょに練習しようという本。
クラシックにこだわらない人にはこれがよいかもしれません。
「大人からはじめるハノンピアノ教本」
ハノンは原書っぽいのを見ると「うわーっ」って拒否反応が来る人が多いので、気楽に始めたい人(大人)向けのを選ぶのも手です。チェルニー、グルリット、ブルグミューラーの曲も収録しています。注意点としては「ハノン」は1番から20番(最初のところ)だけしか収録してないです。
「ピシュナ 60の練習曲 解説付 (坂井玲子校訂・解説)」
リトルピシュナをご卒業されてしまった方には、続編がありました。わたくしはここまで必要ないと思うのでスルーしますが、ピシュナワールドにハマってしまった方はぜひ大人買いで入手していただきたいです。
「リトルピシュナ48の基礎練習曲」について書きました。